PROPERTY GUIDE / 収益物件・売却準備
賃貸中のアパートを売るとき、敷金はどうなる?部屋ごとの預り金と精算の確認
賃貸中の物件を売るときは、敷金の「契約書に書かれた額」と「現在の返還対象額」を部屋ごとに確かめます。預り金の引継ぎと売買代金の精算は別の確認事項です。

売却価格だけを見ると、敷金を見落とす
賃貸中のアパートや一棟マンションを売るとき、家賃と入居率は確認していても、各入居者から預かった敷金の記録が古いまま、ということがあります。敷金は毎月の収入とは違い、賃貸借から生じる債務を担保するために預かるお金です。退去時などに返還が必要となる範囲があります。
売買では、賃貸人の地位が買主に移る場合の敷金返還債務と、売主・買主の間でその額をどう精算するかを分けて確認します。民法第605条の2は、一定の場合の賃貸人の地位の移転と敷金返還債務の承継を定めています。個々の契約や登記の状況、売買条件は確認が必要です。
この記事は、入居者がいる住戸の敷金を中心にした売却準備です。家賃の数字が合わないときは「レントロールと入金が合わない?賃貸中物件の売却前に確認する順番」、法人の保有物件全体の資料整理には「法人所有の賃貸中物件を売却したい」もあわせて参考にしてください。リンクは末尾の参考情報にあります。
まず部屋ごとに、三つの数字を分ける
たとえば契約書に「敷金2か月」と書かれていても、それだけでは現在いくら預かっているか分かりません。前所有者から取得した物件や管理会社を変更した物件では、引継ぎ資料も探します。契約書・入金記録・現在の台帳を同じ部屋番号で突き合わせることが出発点です。
国土交通省の賃貸住宅標準契約書には敷金の条項がありますが、これは契約書のモデルです。実際の権利義務は、各住戸の契約書と適用法令、個別の経緯に沿って確認します。礼金、保証金、償却の特約などを一律に敷金と同じ扱いにしないことも大切です。
- 契約上の敷金:当初契約と更新・変更の書面に記載された額。
- 実際の受領額:入居時の入金、管理会社からの送金、売主が前所有者から引き継いだ額。
- 現在の返還対象額:返還済み、賃料等へ充当済みなどの記録を反映して確認する額。
決済日に決めるのは「誰がいくら負担するか」
買主が将来の敷金返還義務を引き継ぐ場合、売主と買主の間では、預り金相当額を売買代金から控除するなど、精算方法を取り決めることがあります。これは取引条件によるため、この記事では固定の計算式や負担割合を示しません。
売買契約を作る前に、対象住戸、金額の基準日、確認できない住戸の扱い、契約日から決済日までに退去や追加預託があったときの再計算方法を整理します。家賃の日割り精算と敷金の精算は混同しないよう、明細を分けておきます。
「敷金を預かった現金が手元にないから、引継ぎ不要」とは判断できません。現金の保管場所と返還義務の帰属は別の話です。残高に争いがあれば、売買条件の確定前に契約書・管理会社の記録を確認し、必要に応じて専門家に相談します。
管理会社にも、引継ぎの対象を確認する
管理会社へは、敷金台帳の基準日、預り金の保管先、入金・返還の履歴、入居者への連絡方法を確認します。管理委託契約が売買後もそのまま続くと決めつけず、契約上の地位や新所有者との手続きを管理会社に確認してください。国土交通省の賃貸住宅管理業法FAQも、管理受託契約の相手方変更を扱っています。
サブリース契約がある物件では、オーナーと入居者の間に転貸会社が入ります。通常の直接賃貸と同じ図式で敷金を計算せず、マスターリース契約、転貸借契約、預り金の保管先を別に確認します。
相談に持っていく「住戸別メモ」
一枚の表に、部屋番号、入居中・空室、賃借人との契約主体、契約上の敷金、受領記録、返還・充当記録、現在額の確認状況を書きます。不明なら空欄を推測で埋めず「未確認」と記します。
退去済み住戸は、返還や精算が完了しているかを別に確認します。滞納や原状回復費用がある住戸も、控除額を見積もりで確定させず、契約・明細・退去状況を照合してください。入居者の個人情報が含まれる資料は、相談時に必要な範囲を確認して取り扱います。
よくある疑問
Q. 敷金台帳が見つからなければ、売却相談はできませんか。
できます。まず賃貸借契約書と管理会社の報告書、過去の引継ぎ資料がどこまであるか教えてください。私たちが確認項目を整理し、金額が確定していない住戸はそのまま区別して進め方をご案内します。
Q. 売却前に、敷金を入居者へ返せばよいですか。
売却だけを理由に一律に返すと判断せず、契約と現在の賃貸人の地位、買主への引継ぎ条件を確認しましょう。私たちも売買の予定と各住戸の状況を伺い、必要な確認先をご案内します。
Q. 買取と仲介で、確認することは変わりますか。
どちらも住戸ごとの預り金の確認が必要です。売却時期や引渡し条件を比べる場合は「不動産の買取と仲介、どちらが自分に合う?」も参考になります。リンクは末尾の参考情報にあります。
この記事は2026年10月27日に公表資料を確認した、一般的な売却準備の説明です。実際の敷金返還債務や精算方法は、適用法令、賃貸借契約、売買契約、管理委託契約などで個別に確認します。
株式会社ブラザーホームは東京23区・千葉・埼玉を中心に、賃貸中の物件の買取・売却を個別に検討します。契約書がそろっていない段階でも、分かる住戸からお知らせください。電話は03-5809-8182(受付10:00〜18:00)です。